吉村みどり・バルバラを歌う

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 吉村みどりさんのコンサートが、浜松勤労会館で行われた。
 新年の道路渋滞により遅れて着いた我々を待っていたのは人の波。
 後ろの扉を開けて入れば、見えるものは人の頭ばかり、体を斜めにして僅かにできた隙間から、吉村さんのステージ第1部を見た。この盛況を素直に喜ぶ。
 後半は、脇の通路に座り込んでじっくり聞いた。
 バルバラ。
 15年前、浜松アリーナの文化面での杮落としに行われたバルバラのステージを見た。死に直面した切実な内容の歌が多く、フランス語がわからない私ですら、重苦しい気持ちになったのを思い出す。この時が最後の来日となり、数年後にバルバラは他界した。
 そのバルバラの歌を、吉村流に歌いこなした数々からは、その時ほどの重苦しさは感じられない。フランス人と日本人の死生観の違いなのか。
 語りかけるようなシャンソンの特徴を、吉村さんはうまく生かして、聴衆の心をつかんだ。